PDTに関する論文

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6)フォトダイナミックセラピーに関する論文 2

[2]δ-アミノレヴリン酸を利用したphotodynamic therapy(ALA-PDT)

δ(デルタ)-アミノレヴリン酸(ALA)は分子量131のテトラピロールを構成するデルタ型アミノ酸で、水溶性が高く、アルコールに微溶、有機溶剤には難溶、酸性条件下で安定しアルカリ条件下で分解する体内に内在する物質である。

医療分野での利用以前から植物・農業分野において、除草剤・殺虫剤、植物の光合成増強、耐寒性・耐塩性・収穫の向上目的に、また微生物・発酵分野で、ビタミンB12生産、微生物培養、殺菌、ヘム酵素・ポルフィリン生産に利用されている18)。また医療分野でも、PDT用薬剤以外で、ポルフィリン症診断19)に使われ、また育毛20)(著者らのマウスでの検討では、コントロールのクロトンオイルより、育毛効果はかなり劣っていた)が試みられている。   ALAはそれ自体には光感受性はないが、ヘム生合成経路におけるポルフィリンの前駆物質である。生理的にはヘムの存在がネガティブフィードバックとなってALAの合成を阻害するが、過剰な外因性のALAが与えられると、このフィードバックがきかなくなり、律速酵素であるフェロキラターゼが枯渇し、内因性のポルフィリン特にプロトポルフィリン?( Pp?)が細胞内に蓄積される。 Pp?は紫外線領域で蛍光発色する。Black light下で、病変部はALAが投与されて1時間後に赤色の蛍光を発し始め、4から6時間後にそのpeakを迎え、その後減衰する。Pp?は光を吸収すると励起し、三重項酸素状態を通じて基底状態に復帰する時、細胞内で一重項酸素およびOHラジカルが産生され、これら活性酸素が細胞に障害を与える。Pp?の励起波長は410nmに最大のpeakがあり、他に510nm、545nm、580nm、630nmにもpeakがある。治療光の波長は、深さ1mmまでの組織なら、410nmの光を、それ以上の深さに対しては630nmの光を利用するのを一般に有用としている21)。

一方、Pp?は励起するとクロリンタイプのポルフィリンであるフォトプロトポルフィリンなどの二次産物を産生する経路がある。これら主な二次産物の励起波長は670nmにpeakがある。従って一時期、630nmと670nmの二峰性のレーザー光を利用する試みがあったが、その後ALA-PDTにおいて、二次産物のポルフィリンを励起させることが、治療効果を向上させるには大きな役割をはたさないという意見が支配的となった21)。ところが最近になって、治療光に670nmを含める方が、治療効果が上がるという意見が再度現れてきた。実際、著者らの日光角化症の治療において、630nmのエキシマ・ダイ・レーザーよりも600nmから700nmまでの赤色域可視光線を利用したほうが顕著な腫瘍消退が得られた経験を得ている22)。このため、ALA-PDTにおける励起光源は630nmのレーザー光を利用した報告が多いものの、可視光線の報告もまた多い。治療効果の面もさることながら、可視光線の光源のほうがレーザー光より安価であり、範囲の広い病巣を治療する時に有利であるのはいうまでもない。ALA-PDTで利用できる光源としては前述のレーザー装置に加え、可視光光源のランプの開発が進んでいる。著者らは、エキシマ・ダイ・レーザーに加え、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプの使用経験があるが、600から700nmまでの光エネルギー効率とランプ寿命およびランプハウスの小ささ(装置の小型化のつながる)では、メタルハライドランプが、低コストの面ではハロゲンランプが優れているといえる。一方、メタルハライドランプは調合する金属の種類・量が極めてデリケートであり、ランプのロットごとの安定性に差が生じやすく、光放出を開始してからエネルギーが安定するまで時間がかかる。ちなみに米国FDAで認可された

ALA-PDT用の光源は410nmを中心としたハロゲンランプである。これはその主とする波長の短さから日光角化症という極めて表層の病巣をターゲットとした光源であるといえる。従って日光角化症以外の深在する可能性のある悪性疾患に対し利用するのは危険かもしれない。複数の波長を持つ可視光線はその器材が低価格であるゆえ対象疾患ごとに最も有利なものを提供することが可能かもしれない。現在、高価なレーザー機器においても、子宮頚管用のPDT用のエキシマ・ダイ・レーザーが開発されている。皮膚科領域のALA-PDTの研究が今後も進み、個々の疾患に安価な機種で対応できることが望ましいと考える。

ALA-PDTにおける細胞死のメカニズムは、不明な点が多い。光励起されたPp?の一重項状態の寿命は10-7から10-9秒と極めて短いため、継時的変化を追うことは不可能であるが、電顕的にALA-PDT施術後早期の細胞内の障害部位は、ミトコンドリアおよびその辺縁に観察される17)。この障害が一定時間を要して細胞全体の機能障害となり、核に波及し細胞死につながることが、ALA-PDTがアポトーシス様細胞死をおこすものと言われる所以である21)。例えば、正常皮膚で、外用によるALA-PDTをおこなうと、3日間発赤腫脹を生じ、4日目に痂皮形成が観察できる。ALA-PDTは紫外線照射におけるピリミジンダイマー生成や、ソラレンにおけるDNAへの直接反応とは全く異なるものである。そして細胞核への直接関与をしないPDT施術が将来癌化を引き起こす可能性は極めて少ないと予想されている21)。一方で、ALA-PDTにおいても励起光を赤色光ではなく青色光を利用すると、比較的急激な細胞死が観察される。そしてこれは光エネルギー量に依存したものではない。この理由として、励起時に出現する活性酸素種の違いによることが示唆されている(in vitroでは、赤色光照射時では青色光照射時の10倍以上のOHラジカルが産生されている)。

他の薬剤のPDTと比較した時、ALA-PDTの利点は、①投与後24時間以内に代謝されるため、事実上光毒性が問題にならない②体内に存在する物質であるので毒性がない③経皮的局所投与、静脈投与および経口投与が可能④腫瘍の選択性がよい、である。欠点は、①アルカリ状況で分解する②誘導されるPp?の光感受性がやや弱いことである。

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