PDTに関する論文

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6)フォトダイナミックセラピーに関する論文 3

[3]皮膚腫瘍への応用

1990年のKennedyら16)の報告以来、ALA-PDTの主なターゲットは、日光角化症、基底細胞癌、ボーエン病などの表在性上皮性皮膚悪性腫瘍である。親水軟膏に溶かして20%ALAとしたものを病巣に塗布し、4時間後励起光を照射するのが一般的手法である。既に欧米では膨大な症例数の報告があるが、おおむね1ないし2度の施術で、80%から90%の奏効率である21)。また、励起光源は、アルゴン・ダイ・レーザーや、ハロゲン・キセノンランプが多い。

著者らの経験22)23)でも同等の成績であったが、欧米の報告例との大きな違いは、その施術回数が3ないし6度と多くなることである。Bernsteinら24)は、メラニンが組織内のポルフィリンと励起光を競合するため、有色人種はこの治療に不利であることを示唆しているが、これを証した結果だといえる。またメラニンを有する腫瘍には、ALA-PDTは効果がないとされている24)25)。一方、体内管腔臓器の早期癌では、PDTとNd-YAGレーザーによる腫瘍焼灼術との併用が、それぞれの単独治療より生存率を上げているので26)、我々は、Warloeら21)のあらかじめ腫瘍を電気焼灼する手法にならい、色素性基底細胞癌を治療したが23)比較的満足する結果を得ている。

早期上皮性腫瘍に対するALA-PDTの成績は決して悪いものではないが、より効果を上げる工夫・試みが報告されている21)。皮膚科領域におけるALA-PDTのオーソドックスな施術は外用塗布によるものである。しかしALAが水溶性であることから、経皮吸収の面で不利となるのでエステル化させて脂溶性を増す試みは有用であるかもしれない。おもしろいことに、in vitroではエステルの炭素数の多いALA誘導体が、高いPp?の細胞内蓄積を生み出すが、in vivoでは炭素数の少ないものが優れている。すでにPengら21)がALA-methyl esterの臨床例を報告しているが、メチルエステルは体内にとりこまれた後、加水分解により、毒性と蓄積性を有するギ酸を産生する。一方、著者らの検討では、in vitroではPengらの報告と同等であるが、in vivoではALA-methyl esterとALA-ethyl esterは同じ成績であった。このことは、加水分解されても安全な酢酸を生じるALA-ethyl esterの方が、有用性が高いことを示唆している。一方、ALA-PDTをより深在性の腫瘍に適応するには、ALAの局所注射27)や、内服投与28)が有効であるかもしれない。しかし著者らの経験29)では局所注射は、ALAの酸性度が強いため患者に強い疼痛を与えるのが欠点である。ALAの内服投与は、ドイツを中心に脳外科領域で多数試みられている。本邦でも金子ら30)のグループにより、既に200例以上の臨床経験がある。

ALA-PDTは放射線治療のように術前におこなわれることでその後の手術における創傷治癒の悪化が危惧されることがないので、もし効果が不十分であっても引き続きおこなわれる手術治療になんら不利益はない29)。また大きな病変部にALA-PDTをおこなった場合、腫瘍はその施行ごとに、周辺部から縮小をみせる。このことは進行癌の手術前の、補助治療として有用であるかもしれない。ポルフィリンあるいはクロリン環の光感受性物質を使うPDTは、欧米では手術不能の進行癌に多く適応されているが、本邦でも早期癌に加え進行癌への保険適応をとる動きがある。ALA-PDTにも同様のことがいえるし、実際著者らは手術不能のPaget癌で有用であった経験をもつ31)。

上皮性腫瘍に対するALAの利用は治療のみならず診断法としても模索されている。ALAの腫瘍親和性とPp?の蛍光発色を利用して、無色素性あるいは再発性基底細胞癌の浸潤範囲を診断する報告がある32)。著者らの8例の経験では、非常に正確に浸潤範囲を現したもの33)もあるが、不正確なものも経験している。正確度は、腫瘍細胞の浸潤する深さに依存していると思われた。さらに上皮性腫瘍のリンパ節転移の有無を診断する試みもおこなっているが34)、リンパ節に結合織が付着していると蛍光を検出しずらくなるのが難点である。従って、en blockにリンパ節廓清を終えた後、各個リンパ節を外した時に腫大したリンパ節の蛍光を観察すると、転移か炎症性の腫大かの判断はできる。また単発の腫大したリンパ節生検時も本法は有用かもしれない。しかし、リンパ節への微小浸潤は、検出不能であろう。また正常皮膚においても、皮脂腺・毛包にALAによるPp?の発現が多い。さらに、ALAの外用は、正常皮膚にもPp?を発現させるので、この施術の有効性を現すには光学的な装置の発展を待たねばならないかもしれないし、ALAの腫瘍親和性のみを生かし、ALAとのcomplexを作成し、別な検出方法を模索する動きもある。

悪性黒色腫は、in vivo、in vitroともにPp?の蓄積はみられるにもかかわらず、すくなくとも臨床における治療効果は無色素性悪性黒色腫も含め全くといっていいほどない。そしてその理由は不明である。また血管内皮細胞、線維芽細胞は、in vivoにおいてALAの取り込み自体がほとんどない。この点でALA-PDTは、新生血管や腫瘍血管の治療にも利用されるポルフィリンあるいはクロリン環の光感受性物質のPDTと大きく異なる。ちなみに著者らは悪性線維性組織球腫、隆起性皮膚線維肉腫、血管肉腫の臨床例において肉眼的にも顕微鏡的にも全くPp?の蛍光を認めなかった。一方、リンパ球、組織球はALAの取り込みおよびPp?の蛍光発色が認められる。後述する尋常性乾癬など炎症性皮膚疾患へのALA-PDTの作用はこれらの細胞に対するものと言われている。そして皮膚リンフォーマおよび菌状息肉症はALA-PDTのよい適応となっている35)。なお眼瞼黄色腫では一度のALA-PDTで若干の縮小をみた。残念ながら二度目以降の施術をおこなっていない(70%グリコール酸で容易に消退させることができる)。

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