イソトレチノイン内服

イソトレチノインは、難治性のニキビや繰り返しできるニキビなどの重傷ニキビの治療に用いられる内服薬です。

 「繰り返しニキビができる」
 「これまで受けた治療で治らなかった」

と悩んでおられませんか?
保険診療のお薬など他の治療で効果がなかった方も、効果が期待できる内服薬です。

イソトレチノインとは

イソトレチノイン

イソトレチノインは、ビタミンAの誘導体であり、特に重症ニキビの治療に用いられます。一般の皮膚科で処方される外用薬や内服薬で改善が見られなかったニキビの方でも、効果が期待できる内服薬です。
日本では、まだ保険適用外の自費診療となりますが、1980年代にアメリカで承認されて以来、海外では30年以上にわたり広く使用されている薬剤です。

イソトレチノインが向いている方

  • 一般の皮膚科で処方される外用薬や内服薬やその他の治療で、 2 ヶ月以上ニキビ治療をしても改善がみられない方
  • すぐに再発を繰り返すニキビに悩んでいる方
  • 顔だけでなく、身体にもニキビができる方
  • 特に、生理前にニキビがひどくなる方
  • 重症なニキビのある方

イソトレチノインの主な効果

  • 皮脂の分泌を抑制する

    イソトレチノインは、皮脂腺に作用し、皮脂腺を抑制・縮小させることで皮脂の分泌を大幅に減少させます。皮脂分泌量の抑制により、繰り返し「同じところに」できるニキビをできにくくします。

  • 表皮細胞の正常化・毛穴の詰まり解消

    イソトレチノインは、表皮細胞の機能を背浄化する作用を持ち、それにより、皮膚のターンオーバーを整えて正常化し、角質の異常増殖を抑制します。それにより角化異常等が生じにくくなり、ニキビが生じる原因の最初である「毛穴の詰まり」がおきにくくなり、新生ニキビができにくくなります。
    毛穴の詰まりがおきにくくなるため、毛穴が開いたり黒ずみが生じたりしにくくなります。

  • 炎症抑制

    アクネ菌に対する抗菌作用をもつため、菌増殖が生じにくくさせて炎症を生じにくくさせます。この抗炎症作用でニキビによる赤みや 腫れを軽減します。同時に、毛穴を中心とした皮膚構造の崩れや色素沈着等が軽減されるため、ニキビ跡だけでなく繰り返す難治性ニキビになりにくくなります。

当院で受けるメリット

  • ニキビ治療専門

    当院は、ニキビ治療を専門としたクリニックです。イソトレチノインが体に合わない方でも可能なPDT治療など、患者様ひとりひとりのニキビの状態に合わせた治療を行っています。

  • イソトレチノインによる副作用のチェック

    イソトレチノインは重度ニキビに対して高い有効性を示す一方で、慎重な管理を要する薬剤です。服用中は肝機能検査および血中脂質検査を含む定期的な血液検査が必須となります。特に個人輸入やオンライン処方で入手した場合、適切な医学的監視が欠如している可能性があるため、注意が必要です。
    当院では、治療中の患者様には、健康状態を正確に把握し続け、副作用の兆候を早期に発見するために定期的な血液検査を受けていただいております。

個人輸入・自己判断での服用による
リスクと注意点

イソトレチノインの個人輸入は、厚生労働省から確認が必要な「未承認医薬品」に指定されているため、数量にかかわらず違法となる可能性が高く、推奨されません。
医師の処方箋なしでの輸入、治療目的以外での所持、第三者への譲渡・販売は薬事法で禁止されており、副作用のリスクも高まります。

また、医師の管理なしに購入・服用することで、適切な用量や期間を間違って重篤な副作用を引き起こす可能性があるだけでなく、適切な用量や期間であっても生じる得る重篤な副作用の発見ができない、等の問題があります。

当然ですが、偽造品や粗悪品の可能性もあり、品質や成分が保証されない偽物が届くリスクがあります。

法的リスクもあり、 医薬品医療機器等法上の未承認医療機器であり、医師の処方箋や指示書なしでの個人輸入は制限されています。
安全に治療を行うためには、必ず医療機関で医師の診察を受け、指示に従って服用し、適切な定期検査等を受けることが重要です。

厚生労働省のウェブサイトはこちら

効果的な服用期間と服用量

  • 標準的な服用期間

    当院では、イソトレチノインの4〜6ヶ月程度の服用を 1 クールとした治療を行っています。

  • 再発予防のための積算量

    イソトレチノイン内服治療のみでニキビの再発を防ぐには、適切な累積用量(累積投与量・積算量)に達するまで服用することが必要とされています。
    累積で 、体重 1kg あたり120mg 以上、理想的には 220mg 以上の用量が再発率低下に効果的と報告されています。

    体重別
    イソトレチノイン累積用量・積算量計算表

    体重
    (kg)
    累積用量120mg/kg
    1日の必要用量
    累積用量220mg/kg
    1日の必要用量
    40 4,800mg
    1日あたり27mg
    8,800mg
    1日あたり49mg
    50 6,000mg
    1日あたり33mg
    11,000mg
    1日あたり61mg
    60 7,200mg
    1日あたり40mg
    13,200mg
    1日あたり73mg
    70 8,400mg
    1日あたり47mg
    15,400mg
    1日あたり86mg
    80 9,600mg
    1日あたり53mg
    17,600mg
    1日あたり98mg
  • 再発する可能性

    近年の研究では、イソトレチノインの累積用量を達成しても再発する可能性はあると言われています。

    ・120-150mg/kgという累積用量の推奨には強い科学的根拠がない

    ・数字に固執するのではなく、ニキビが消失するまで治療するという原則に従うべき

    ・軽度から中等度のニキビでは、より低い累積用量(平均約80mg/kg)でも、適切な維持療法を併用することで良好な長期的効果が得られたことの報告

    当院では、これら最新のエビデンスを考慮し、個々の患者さんの重症度や治療反応性、副作用の出現状況に応じて、患者さん一人ひとりに合わせたアプローチで、副作用を最小限に抑えつつ最大限の効果を得られるよう努めています。

効果的な服用方法

  • 最も効果のあるタイミング

    イソトレチノインは食後すぐに服用することで最大の効果を発揮します。

    空腹時に服用してしまうと、せっかくの薬効が十分に発揮されない可能性があります。
    イソトレチノインは脂溶性の薬剤という特性があるため、食事に含まれる脂肪分と一緒に摂取することで体内への吸収率が大幅に向上するからです。

  • 内服量の決定

    用量を増やして服用期間を長くすれば再発率は下がりますが、副作用の出現率も高まります。

    当院では、患者さん一人ひとりの症状や体重、副作用の状況に応じて用量を調整しています。

  • 効果が出てくる時期

    ~1ヶ月 一部の方に好転反応(ニキビが一時的に増える)があります
    1~2ヶ月 新しいニキビの発生が減少
    3〜4ヶ月 多くの方に明らかな改善

    好転反応とは、イソトレチノインの服用開始後に一時的にニキビが悪化する現象です。これは薬の効果が出始めている証拠であり、お肌が生まれ変わろうと細胞が活性化することで生じます。医学的には初期悪化(フレア)と呼ばれます。

副作用や禁忌事項、注意事項

イソトレチノインは重度ニキビに対して高い有効性を示す一方で、慎重な管理を要する薬剤です。服用中は定期的な血液検査が必須となります。肝機能(AST、ALT)や脂質(コレステロール、中性脂肪)などの血液検査値にて異常が出た場合は、服用を中止する必要があります。

  • よく見られる副作用

    • 副作用:皮膚・粘膜の乾燥

      皮脂の分泌が抑制されることで、顔だけでなく全身の皮膚や粘膜が乾燥しやすくなります。
      ほぼ全ての方にみられる副作用として、唇、皮膚、目、鼻、膣などの粘膜が乾燥します。口唇炎や結膜炎など粘膜障害を引き起こすことがあります。

    • ニキビの一時的な悪化

      治療初期に一時的にニキビが悪化(好転反応)することがありますが、これは治療が進行している証拠であり、その後改善します。

    • 日光過敏症

      紫外線に敏感になり、日焼けしやすくなります。

  • 注意が必要な副作用

    • 胎児への影響(催奇形性)

      最も重要な副作用として催奇形性があり、妊娠中または妊娠の可能性がある女性、授乳中の女性は絶対に服用できません。原則内服前の1ヶ月、服用中、服用終了後1ヶ月は避妊しなくてはいけません。男性がイソトレチノイン服用中に特別な避妊処置をとる医学的必要性は確立していませんが、女性と同様の期間は避妊するようにして下さい。

    • 肝機能障害・中性脂肪の増加

      肝機能に異常が出たり、中性脂肪が増加したりすることがあります。

    • その他

      まれに精神神経系の症状や、うつ症状や幻覚などが報告されています。
      その他、関節痛、筋肉痛、頭痛、脱毛、光線過敏症なども報告されています鼻出血、筋肉痛、頭痛、吐き気など、さまざまな副作用が報告されています。

  • 治療を受けられない方

    • ・妊娠中または妊娠の可能性がある方
    • ・授乳中の方
    • ・肝機能障害がある方
    • ・精神疾患の既往がある方
    • ・特定の薬剤を服用中の方

治療の費用

  • 皮膚・粘膜の乾燥

    イソトレチノインは保険診療ではありません。アメリカFDAで認可は受けているものの、日本では保険診療の範疇に入っておらず自費になります。
    当院では「アクネトレント」を扱っており、イソトレチノインの費用は以下の通りです。

    イソトレチノイン

    20mg 30日分 ¥13,200
    30mg 30日分 ¥19,800
    40mg 30日分 ¥26,400
    50mg 30日分 ¥33,000
    60mg 30日分 ¥39,600